はじめに
サブスクビジネスの勢いは留まることを知りません。
サブスクリプションの仕組みは、定期的な収入が得られるだけでなく、ECサイトの安定した成長に、もはやなくてはならないものになっています。
最近では、意外な業界や商材がサブスクというビジネス形態に進出してきています。車のサブスク、サブスク型脱毛、香水のサブスク、絵画のサブスクなど、その種類や形態は多岐に渡ります。面白いですよね。様々な業界で、サブスクへのニーズが高まっていることが伺えます。
サブスクリプションは、うまくやれば、顧客の定着率を上げて売上を安定させることができるため、どんなジャンルのビジネスでも積極的に取り組むべきモデルです。
では、どうすればうまくいくのか?これは、シンプルな話で「新規の顧客を増やして既存の解約を抑制」すればいいわけです。
今回の記事では、サブスクビジネスを成功させる上で欠かせない分析の中でも、一般的なものから少々マニアックなものまでを分析環境の構築から、実際に分析してそれをアクションに落とし込むところまでを一気通貫で解説していきます。
それでは、早速ですが、まずは分析のための事前準備です。Shopifyで正しく分析をするためには、事前に何点か準備をする必要があります。
通常販売とサブスク形式での販売の両方を採用している場合と、サブスク形式のみで販売をしている場合で事前準備の内容が少しだけ違いますが、大きくは以下の二点の事前準備が必要です。
事前準備その1 -アプリのインストール-
このブログでは以下のShopifyアプリを利用した分析を紹介していきます。
-
Smart Auto Tagger
「定期購買」というアプリは簡単な設定をするだけで、サブスク商品を購入した顧客とその注文に対して自動でタグを付与してくれます。また、サポートも手厚いため、とりあえず迷ったらこちらをオススメします。
次にSmart Auto Taggerは、「定期購買アプリ」だけでは自動的に付与されないタグ付けを行うために利用します。同様の機能があればよりコスパの良いアプリを選定してももちろんOKです。
事前準備その2 -設定-
まず、定期購買アプリでは、サブスク顧客やサブスク注文に対して”subscription”というタグが付くような設定をする必要があります。Shopifyの注文一覧にはサブスクの注文も一般の注文も一緒に一覧に羅列されてしまうため、どれがサブスクの注文なのかを区別できるようにする必要があります。
※サブスク形式でのみ販売を行なっている場合はこの設定は必要ありません。
また、その注文が何回目の購入なのか、というのを判別できなければ、後々継続率などを分析する際に非常に困るため、それ用のタグも付与する必要があります。例としては、初回注文であれば「subscription-count:1」、2回目のサブスク注文であれば「subscription-count:2」という具合です。
また、一時停止、スキップ、解約の場合にもそれぞれ日時が判別できるようなタグが付与しましょう。
これらが正常に動作するかをまずは確認してください。
続いてSmart Auto Taggerでは、新規の注文に対して”first-order”などのような初回購入であることが分かるタグを付与する設定をしておきましょう。先に紹介した「subscription-count:1」で初回の注文を判断すればいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、それはあくまでサブスクとして1回目の注文というだけで、ストアで初めての注文という意味ではありません。そのため、こちらの設定は必須になります。
設定が確認出来たら第一段階の準備はこれで完了です。とはいえ、データが無ければ分析出来ないので、しばらくはサブスクビジネスを回していただく必要があります。3ヶ月ほど売上の状況を観察したら、分析に入っていきましょう。
分析手法1. 転換率/継続率分析
転換率/継続率分析とは、顧客が何回継続してサブスクを利用してくれているのかを割合で見る分析方法です。サブスクビジネスは継続率が命ですので、ここで算出される数字は、とても基本的かつ重要な指標になります。
本記事で定義している転換率と継続率には明確な違いがあります。
転換率は、1回目から2回目に転換したユーザー、2回目から3回目に転換したユーザー、3回目から4回目に転換したユーザー・・・のように、各回のユーザー数に対して何人が次の回に転換したのかを示すものです。
一方で継続率は、1回目のユーザー(要は全てのサブスクユーザー)に対する各回への転換数を意味します。つまり、サブスクビジネスを俯瞰して見たときの全体の継続傾向(継続率)を表す指標になります。
転換率が各回から各回への転換に対して課題を見つけるのに対し、継続率はサブスクビジネスが全体的に見てうまくいっているのかを確認するために見る数値であると考えると分かりやすいのではないでしょうか。
グラフと表を使って具体的に違いを見ていきましょう。
<転換率グラフ>
顧客数は同じなので、グラフの変動は全く同じですが、表の「転換率」と「継続率」に注目すると、割合が違いますね。同じ顧客数のデータを使っていても、継続率は転換率よりも低い数値で推移するのが一般的です。
では、上記のようなグラフと表を作成する手順と、考察を見ていきましょう。
【データの準備】
1.Shopifyの「注文管理」をクリックし、任意の期間の注文データをエクスポートします。
2. エクスポートしたデータをエクセルかスプレッドシートで開き、注文日の列をフィルタで古い順(昇順)に並べます。この時、Email(顧客)も昇順に並べます。そうすると、顧客ごとの古い購入日順になります。
※サブスクと通常販売の両方をやっている場合は、サブスク注文のみを絞り込むために更に作業をする必要があります。「Tags」という列に"subscription"が含まれている注文のみをエクセル(もしくはスプレッドシート)のフィルターか、関数を使って絞り込んでください。
3. 各注文が各顧客にとって何回目の注文であるかを特定するために、顧客ごとにデータをグループ化します。2で並び替えをしたものに対してピボットテーブルを挿入して、以下のようにEmial(顧客)ごとにグループ化します。
4.各顧客グループごとの購入日の重複を削除します。
※同日に複数購入している場合は、その日に”1回”購入したことにするので重複削除によって同日分は一行のみ残すようにしています。
5.「購買回数」という新しい列を作成し、そこに「row-number」関数を入れます。そうすると、例えば1回のみの顧客が何人いて、2回目まで転換した顧客が何人いる・・のように、サブスクの各回の顧客数が分かります。
6.「購入回数」列を参照して以下のような表を作成します。転換率の欄に各回の割合を入れていきます。各回の転換率には、前回分の顧客数をから何人が転換したのか」をベースに算出して入れましょう。仮に、2回目顧客数が240人で、3回目顧客数が162人であれば、(162/240)×100=67.8% のように計算します。
また、各回の継続率には、各回の顧客数/1回目の顧客数×100の式を使って計算して数値を入れてください。1回目の顧客数が500で、3回目の顧客数が162であれば、3回目の継続率は162/500×100=32.4%になります。
<転換率の表とその計算式まとめ>
<継続率の表とその計算式まとめ>
7.最後に、以下のように顧客数をグラフ化して容器の表と並べます。そうすると可視性が高くなり、考察がしやすくなります。
サブスクビジネスでは、F2転換率が50%を超えることが理想とされています。F2転換率とは、「2回目の購入に至ってくれた人の割合」です。
F2転換率が重要視される理由は、顧客が2回目まで転換すればそれ以降の転換率(F3.F4転換率)が高まる傾向にあるからです。つまり、1回でもリピートしてくれれば、それ以降は継続して利用してもらいやすいということです。
2回目まで購入が至れば、購入の心理的ハードルが下がっていると考えることができます。
上記のグラフではF2転換率が48%と低い水準です。2回目の購買体験に問題があったのだろうと推測ができます。例えば、お茶の定期便を提供しているお店であれば、「正しいお茶の淹れ方が分からないから、やっぱり辞めよう」となっている可能性があります。初回購入の段階で、お茶の淹れ方を紹介する動画をメールで送ることで解決できるかもしれませんね。
分析手法2. 売上分析
売上分析では、2種類の観点での分析手法を紹介します。
⚫︎新規顧客vs既存顧客の売上比率分析
サブスク商品の売上のうち、既存顧客と新規顧客のそれぞれの割合を算出し、どちらの顧客の方が大きく割合を占めているのかを確認します。そこからどちらの顧客に対してどんなアプローチをするのかという施策を考えます。
【データの準備と考察】
1. Shopifyの注文管理画面から”subscription”というタグが付いた注文に絞って、絞り込まれた注文データをエクスポートします。
※”subscription”というタグは冒頭で説明した通り、”定期購買”というアプリによって、サブスク商品が注文された場合に、その注文に対して付与されるタグです。
2. エクスポートされたデータの中の、Tagsという列を確認します。”first-order”と記載がある注文が新規注文(1回目注文)です。これを参考に、既存顧客と新規顧客それぞれの売上金額と全体売上に占める割合(売上比率)を算出します。
※ “first-order”タグは、1回目の注文の際に、その注文に対して付与されるタグです。タグを付与するアプリを使っています。
※データ取得時点での新規顧客(1回のみ購入)、既存顧客(2回以上継続している顧客)です。
前提として、こちらはサブスクを提供し始めてから1年が経過していると仮定します。この表からは、新規顧客による注文の比率が高いことが分かります。
売上のほとんどは新規顧客であるため、既存顧客によるリピート率が伸び悩んでいると考えることができますね。つまり、すぐにサブスクを解約されてしまうということです。ほとんどが新規ということは、1回購入したあとに、2回目購入まで到達していない可能性が高いです。
とても単純な表に見えますが、どんな顧客に対してどんなアプローチをするかを考える際に、とても大切な指標になります。上記の考察は、サブスクを提供し始めてから1年ほど経過した場合のものですが、サブスクを提供し始めてから間もない初期段階であった場合はまた見方が変わってきます。
では、もっと掘り下げて見て行きましょう。
⚫︎商品ごとの売上比率と新規・既存の割合
次は、商品ごとの売上を見ていきます。サブスク商品の中に、サイズや色などのバリエーションがある場合、その種類ごとに売上の傾向を見てみましょう。
ここでもデータの準備と表の作成が必要です。
【データの準備と考察】
1. Shopifyで注文データをエクスポートします。2. それぞれの商品種類ごと(ここではサイズ別)にsumifs関数などを使って売上金額を算出し、全体に対する各サイズの比率を出します。同時に、Tagsの列を確認し、”first-order”タグがあるかどうかで既存顧客と新規顧客を識別し、その数と割合を算出します。
3. 最後に以下のような表を作成します。
各サイズの売上比率を以下のようなグラフにして表すと、より分かりやすいです。
仮に、毎月のようにお洋服をユーザーの自宅にお届けするサブスクビジネスがあったとします。
上記の売上のグラフを見ると、Mサイズが全体的によく売れているのが分かります。また、表を見ると、Mサイズは既存顧客の割合も高いと分かります。逆に新規顧客数に関しては、Lサイズを購入している人の方が多いですね。
サブスクを始めた当初(新規の段階)はLサイズを選んでおり、途中でMサイズに変更している顧客が多いのではないか、という仮説が立ちます。
だとすると、多くの顧客は、商品自体は良いと思っているが、サイズ選びを間違え、サイズ変更を余儀なくされている可能性が高いです。また、上記の分析結果から、サイズに関する不明点が多いことでサブスクを始めるに至っていない人が多くいる可能性も考えられます。それらの顧客を取りこぼさないためにも、例えばサイトに掲載するサイズ目安表をより分かりやすく改善したり、動画や画像などでサイズ感が伝わりやすい工夫を凝らすと良いかもしれませんね。
分析手法3. 解約率分析
解約率分析は、サブスクビジネスでは最も重要視される指標の一つです。どれだけ新規顧客が多かったとしても、継続してもらえないことには収益は伸びません。当たり前のように聞こえますが、いかに「解約されないようにするか」がサブスクビジネスにおいて最も大切なことです。
ここでは、解約率に関する分析方法を4種類ご紹介します。
⚫︎商品別の解約率分析
この分析では、どんな商品が最も解約される傾向にあるのかについてみていきます。それを知ることで、特定の商品に対する広告の出し方、商品の伝え方を見直すことができ、効率的に商品の改善に取り組むことができます。
※定期購買アプリによって解約顧客へ付与される「キャンセルタグ」はサブスクが再開されると同時に削除され、アクティブタグと入れ替わるため、データを取得した時点での解約者の情報を使ってのみ分析が可能です。過去の解約履歴は残らないのでご注意ください。
1. Shopifyの顧客データをエクスポートします。
2. Tags列の隣に「cancel顧客」などの列を新たに作ります。
3. その新しい列に「=IF(COUNTIF(T2, "*cancel*"), "0", "")」という数式を入れます。そうすると、Tags列に「cancel」という文字が含まれた場合に「0」というフラグが立つようになります。
※ここでは、T列はTags(タグ)が入っている列のことを指しています。
4. 次にデータ全体を選択して、ピボットテーブルを挿入します。ピボットテーブルのフィールド設定で、行の箇所に「cancel顧客」と「Lineitem name」を置き、値の箇所に「個数/Lineitem name」(Lineitme name列に該当するものの個数)を起きます。
そうすると以下のように、「cancel顧客かつ商品」ごとの数が算出されます。赤枠の部分が商品ごとのキャンセル顧客(解約顧客)の数です。
0とフラグが立っている各商品の個数をカウントすることで、各商品の解約数を知ることができます。
5. 次に、各商品のサブスク顧客数を出します。注文データに新たな列を作成します。シートの空いている場所に以下のような商品リストを作ります。
上記でいうとことろのBP列3行目に「=COUNTIFS(R2:R22,BO3,T2:T22,"*subscription*"))」という数式を入れます。
※R列は商品名が入っているLineitem name列です。
そうすると、商品Aであり且つ、Tags列に「subscription」と入っているものがカウントされます。つまり、商品Aのサブスク顧客数が分かります。
これらを以下のような表にまとめます。
※上記の表の「解約率」の定義は、「各商品の契約顧客数に対する解約した顧客数」です。全商品の契約顧客数に対する各商品の解約数ではありません。全商品の顧客数に対する解約数にしてしまうと、「元々、商品Aの注文自体が1番多いから、必然的に商品Aの解約率が1番高くなるのは当たり前だよね」という結論にしかなりません。
各商品別に解約率を見ることで、「解約されやすさ」をより正確に知ることができ、検討はずれな商品改善を回避することができます。
この表を見ると、全体的な解約率は33%と割と高めです。その中でも特に商品C
の解約率が1番高いです。商品Cの良さがうまく伝わらず、「継続したい」と思ってもらえなかったのでしょう。逆を言えば、優先的に商品Cの改善をすることで、全体の解約率を引き下げられる可能性が高まります。
また、商品Bについては、商品Cの次に購入数が多い割に解約率は低めです。であれば、商品Bは人気商品で安定的に継続して利用してもらえている優良商品であると判断することができます。商品Bの在庫を多めに確保し、自社の”推し商品”として商品Bを強調するような広告にコストを掛ける選択肢も出てくるでしょう。
⚫︎キャンペーンごとの解約率分析
毎月何かしらのキャンペーンを実施しているとしたら、キャンペーン開催ごとにどれくらいの顧客が解約、またはむしろ契約開始・再開をしてくれたのかを見ていく必要があります。
まずは、キャンペーンを行う前にキャンペーン対象商品をキャンペーン期間内に注文した顧客やキャンペーン対象者に対してタグを付与する設定を行いましょう。ここでもEasy Tagging というアプリを使います。
キャンペーン期間中に契約をしてくれた顧客を見ていきましょう。Shopifyの注文管理画面で以下のように、キャンペーン用のタグとキャンペーン期間で絞り込みます。ここでは、8月にキャンペーンを実施したと仮定しています。
2. キャンペーン参加者が何人いるのかは行数をカウントすることで分かります。キャンペーンがきっかけで新規で契約をしてくれた顧客の数は以下のようにTag列で”first-order” と検索をして絞り込んで算出します。
3.上記を利用して、以下のような表にまとめます。
前月に行なったキャンペーンの効果と比較して、今回のキャンペーンはうまくいったかどうか、顧客に刺さったのかどうかを考察しましょう。
この表のように、新規顧客の割合を算出すれば、どのキャンペーンが新規顧客獲得に強くて、どのキャンペーンが新規顧客獲得に弱い(言い換えれば既存顧客に刺さりやすい)のかを把握することができます。
上記の表からは、参加者のうち新規顧客の割合が高いと分かり、新規顧客に刺さりやすいキャンペーン内容であったと結論づけることができそうですね。逆に、既存顧客にとっては魅力的なキャンペーンではなかったようです。
次にキャンペーン期間中に解約した顧客を見ていきましょう。
1. 定期購買アプリの管理画面を開き、以下の画像のように「エクスポート」をクリックします。
2. エクスポートされたCSVデータに「解約日」という列があるので、そこをキャンペーン期間中で絞り込みます。
↓
ここの行数をカウントすることで、解約数を算出することができます。解約率は、解約数/解約前の顧客数×100 で算出します。
※データを取得した時点で、1度でも契約をしたことがある人の数を解約前の顧客数とします。
表にまとめましょう。
この表ではキャンペーン期間中の解約数が、参加人数の130人を大きく上回っています。参加者は一定数いる一方で、解約者がそれ以上に多いということは、やはり、既存顧客にとっては魅力的なキャンペーンではなかったのかもしれません。
二つの表から、より正確な結論に辿り着くことができましたね。
⚫︎経過日数別の解約率分析
ここでは、「初回購入から何日で解約に至ってしまうのか」を見る分析方法をご紹介します。
まずはデータとビジュアルを用意しましょう。
1. 解約ステータスになっている顧客の一覧を用意(エクスポート)します。
2. 初回購入日と解約日の差分を算出します。
3. 「0〜1日」「1日〜5日」・・・のように日数の区分けをします。
4. 「初回購入から解約するまでの日数」をそれぞれの区分けに分類していきます。
最後に、以下のような表にします。
これは商材によって結果が変わってきます。例えば、ここでは化粧水のサブスクを提供しているとします。上記の表の結果から、どんなことが分かるでしょうか?化粧水は何日間か試してみないと肌に合うのかどうか、分かりません。「1〜5日」や「6〜10日」で解約に至っている顧客は、この期間の間に試した上で合わないと感じたのか、もしくはその他の理由で解約をしたと思われます。
正しい使い方ができていないのか、自分に合った化粧水の選び方が分かっていなかったのか・・と考察を深めることができます。
また、「0〜1日」で即解約している顧客も一定数存在しますね。これは、最初からサブスクを続ける意思はない顧客であると言えます。ここの数字が大きい場合、サブスク契約中の体験よりかは、サブスク初回購入以前の訴求に何か問題があるのかもしれません。
分析手法4. ステータス分析
サブスク利用顧客のステータスを細かく分けて、毎月の顧客の動きを見る手法です。解約顧客だけでなく、サブスクを継続してくれている顧客(active)、一定期間サブスクをスキップした顧客(skip)、一時停止をしている顧客(pause)などに、細かく顧客の状況を分けます。そこから更に、解約率を算出します。
そうすることで、例えば、”解約”が増えた月に、どんな施策を打っていて、それの何が解約増加を引き起こしてしまったのかなどを分析することができます。
逆に解約が減って、アクティブが増えた場合も、どんな施策のどの点が”良かった”のかを分析することもできます。
1. 顧客データをエクスポートします。
2. シートの空いている箇所に、aactive,skip,pause,cancelという4つの項目を以下のように用意します。
※英語表記の理由は、各顧客の”ステータス”は「定期購買アプリ」によってアルファベットでタグが付けられるためです。
次に、上記の表でいうところのBS3列に「=COUNTIF(T2:T22,"*active*")」という数式を入れます。
※T列=Tags(タグ)が入っている列を指しています
※“active”の箇所を各ステータスごとに書き換えて数式を入れましょう。
例えば、skip行には「=COUNTIF(T2:T22,"*skip*")」を入力します。
そうすると、Tags列を参照して、各サブスクステータスの顧客の数が算出されます。
上記の手順を使って、今回は以下のような3月間のデータを用意しました。こちらを使って考察をしていきましょう。
上記の表ができたら、次は以下のように前月比の表を作ります。前月の比較してそれぞれのステータスのユーザーがどれほど増減したかを確認するためです。
この表では、4月から6月の3ヶ月間の各ステータスと解約率の推移を見ています。例えば、4月から5月の変化に着目すると、activeが増加 (+82)し、cancelが減少(-9)し、それに伴って解約率(4.94% → 2.74%)が下がっています。
5月中に何かのキャンペーンや、季節的なイベントごとがあったとしたら、それが原因でサブスクの状況が良化したと考えられるかもしれませんね。
逆に5月から6月にかけての顧客のステータス状況は、アクティブが減少(-8)し、解約人数が増加(+37)しています。
まとめ
お疲れ様でした!
手法が多いな・・と思ったかもしれません。全てをやる必要はありませんが、ご自身のビジネス形態に即したやり方を選び取って、何か一つでも真似して分析をしてみてください。
意外な角度から売上状況や顧客の特徴を把握できるようになると思います。
では、おさらいしましょう。
事前準備
Shopifyでデータを分析したい場合は、事前の環境作りが非常に大事になってきます。タグ付けのルールは、同じサブスクでも各企業によってやり方が変わってくるので、どんな準備が適切かをしっかり見極めて環境作りに努めましょう。この事前準備がデータを正確に取得するための肝になります。
分析手法1. 売上分析
売上分析は、サブスクビジネスに限らず大事です。
全体の売上を把握するのも大切ですが、各商品ごと、顧客の特徴ごとにブレイクダウンして見ることが、具体的な施策を考えるために重要になってきます。
分析手法2.転換率/継続率分析
LTVは、サブスクにおいて非常に重要な指標ですが、自社の顧客がしっかり高LTV顧客になっているのかどうかを「継続回数」の観点で最も分かりやすく可視化したのが転換率グラフです。何回目まで購入を続けてくれるのか、はたまた何回目で離脱してしまうのかを一目で確認することができます。これらを把握することで、継続回数ごとの顧客へのアプローチ方法をより具体的に検討することができます。
分析手法3. 解約率分析
解約率はサブスクビジネスで最も重要視される指標です。ただ解約率の上がり下がりを見て一喜一憂するよりも、商品ごと、顧客属性ごとの解約率を見ることで、具体的にどんなことが悪くて解約に繋がってしまったのかを把握することができます。
分析手法4. ステータス分析
サブスクをする顧客には、ステータスがあります。現在サブスクを継続的に続けている顧客(active)や、次月は一旦飛ばそうとする顧客(skip)、一時的にサブスクをお休みしている顧客(pause)、解約をしてしまった顧客(cancel)のように分けられます。各ステータスの顧客の行動傾向や特徴を掴んで、解約を防いだり、休眠中の顧客をいかに再開させるかの施策を検討しましょう。
いかがだったでしょうか?
やっぱり私には難しいかも・・と感じたら一度弊社に相談してみませんか?
お問合せは以下より承っております。