越境ECのシステムを利用して海外への販売活動を行う際に、旗艦店となる「自社ECサイト」をどのプラットフォーム(CMS)で構築するかお悩みの方は少なくないだろう。
越境ECを始めるには言語・通貨・決済・配送など、国内向けECの仕組みと違う様々な解決するべき課題がある。
今回は、プラットフォームの選定に当たって、実際に必要になる機能を軸に考察をしていきたいと思う。
サイトの構築やコンサルティングのみならず、越境ECの運営を実際に代行するサービスを提供する弊社のアドバイスを是非参考に検討を進めていただければ幸いである。
多言語対応・多通貨決済
越境向けには当然ながら多言語・多通貨での表記対応や、対象国のローカル決済をペイメントプロバイダなど通して導入し、安心・安全な状態で顧客に買い物をしてもらえる環境を整える必要がある。
なんだか非常に大変そうで、着手する前は想像もつかないような金銭的・時間的コストがかかりそうだ。
もうやめてしまおうか。。。
しかしながら、それは早計である。
これから実際に運営を開始しようというユーザー様方には朗報で、これらの仕組みは越境ECシステムを強みとうたっているシステムであれば大概標準で実装がされている。
後はちゃんと設定するだけである。
また、国内向けにも販売するなら銀行振込・代引き・コンビニ決済等も揃えておきたいところだ。
配送
海外の顧客へのスムーズな配送を提供するためには、物流面を充実させる必要もある。
日本国内であれば、ヤマト・佐川をはじめとして、ご近所に集荷場などが充実していることと思う。
海外向けの配送手段として、最も主流なのは日本郵政が提供しているEMS(Express Mail Serviceの略)国際スピード郵便もしくはEパケットである。
サービス・料金の詳細は下記を確認されたし↓
また、FedexやDHLでも、国ごと、商品種別ごとに強みを持っており、越境の物流を検討するに当たっては必ず条件面など確認しておきたい。
最近は、アジア圏向けの物流についても様々な会社がサービスを提供しており、倉庫・在庫管理・梱包業務その他まで全部セットのサービスも多数ある。
EC業界では、昨年より、物流革命と言われる業界再編も起きており、ここで紹介しきれないほどたくさんのプレイヤーがいる。
選定に当たっては、利便性と同時にコストとクオリティを考えて決めて行くべきであるが、
まずはEMSでOK
と大体の越境支援業者は言うだろう。
弊社もそれに同意である。
デザイン
越境ECでは海外の顧客に適したデザインがとても重要な要素である。
ある程度見慣れた風景というか、見慣れたUIで買い物をしたいと無意識に思うものである。
我々が海外サイトを見た時に微妙に落ち着かない感覚に陥ると同様に、
海外の方々も日本風のECデザインに若干落ち着かない感じを覚えてしまう、ということはご想像に難しくないだろう。
日本では文字情報やバナーを沢山盛り込んだ賑やかなデザインが主流だが、海外ではシンプルでスタイリッシュなデザインのWebサイトが多く見受けられる。
非常に垢抜けている反面、情報量が少ないように感じる侍ジャパンの方々も少なくないだろう。何を隠そうイタリア風な顔だが純日本人の私もそうである。
しかし、洋風サイト達は、「短い言葉で端的に」ということを美徳とし、言葉でなく、「絵」や「図」、「動画」でそれら不足している情報を補おうとする。この様な違いは認識しておく必要がある。
日本語サイトをそのまま英訳しただけでは、ワインを湯呑みで提供しているようなものである。
楽天の日本サイトと海外向けサイトを比較してみるとその違いは一目瞭然。
海外向けのトップページは余白の使い方などにどこか余裕すら感じる優雅なデザインだ。
このように日本向けと海外向けのデザインは明らかに趣が異なるのである。
英語を社内公用語として利用し、多様性を重んじ、ローカルに知見のあるスタッフをフル雇用している楽天社が、全力投球でデザインしたUIに異論を唱える読者の方はおそらくいないであろう。
スマホ対応
国内・海外を問わず近年のECに共通している点は、顧客のほとんどがスマートフォンからアクセスしているということだ。
そのためモバイル・タブレットに対応したユーザーフレンドリーなデザインは必須である。
その際に、
スマホとPCでデザインを分けたほうが良いか?
それともレスポンシヴデザインで構築するべきか?
という質問をよく受ける。
結論から言えば、レスポンシヴ(Wired風)デザインでOKである。
何故か?
それは、サイトは構築することよりも、運用することの方が大事なので、一度の更新でPCモバイル両方とも反映されるレスポンシヴの方が単純に運用が楽だからである。
運用者フレンドリーである。
とは言え、理想を言えば端末に最適化されているに越したことはないだろう。
ただし、ECはビジネスなので、運用にかかる手間やそもそもの構築費用を検討して、決定するべきだろう。スマホデザインを別で構築したとして、それで一体どれほど成果に差が出るかを証明することは難しい。
また、一度構築したサイトと設定したシステムを引っ越すのは、時として初期構築より費用がかかってしまう。
取り急ぎ、レスポンシヴで構築しておくことをまずはオススメする次第である。
ちなみに、当社で運営を代行する場合も、レスポンシヴで初期構築を行わせて頂いている。
SNS連携
越境ECサイトへは電話での問い合わせはまず来ない。
というか、来たら困るだろう。
言語の壁だけでなく時差もある。
海外の顧客からの問い合わせはメールよりMessengerのようなチャット形式で来るケースが圧倒的に多い。
商品の詳細ページをはじめとした最重要コンバージョンポイントには、漏れなくチャットでの問い合わせボタンを配置しておくべきだろう。
また、サイト上からの問い合わせのみならず、FacebookやInstagramなどSNSを介したコミュニケーションは「今風」のECには欠かせないサービスである。
ちなみに海外にはローカルで流行っているSNS(Redditなど)があり、時と場合でそれらの面にプレゼンスをもつ必要がある。
海外の顧客をマネージメントして行く為には、「コミュニティマネジメント」という考え方で顧客対応を行い、コミュニケーション設計していく必要がある。あまり耳慣れない言葉かも知れないが、自社ブランドの信用という土台を構築する、非常に重要なファンクションになる為、不安であれば弊社の様な代行業社に相談していただきたい。
その他にも
在庫の管理や顧客分析は勿論、会員用のポイントシステムやリピーターへのステップメールの配信などの機能面も充実させたいし、さらには先々も見据えてAmazon・eBayなど海外モールへの展開も視野に入れておきたい。
自社サイトにおいては、基礎が出来た段階で、次に最も優先順位の高い販促はメールマーケティングである。
積極的にメールアドレスの獲得や、オートメーションの活用、ポイントとの連携を行っていこう。
やりたいことは山ほどある。
潤沢に資金があれば制作会社にお願いして全ての要件を満たしたECサイトを作ってもらいたいところだが、初めからそこまで多額の費用はかけられない。
しかし自身でサイトを作ろうにも専門的な知識が無い。
一体どうして良いやら、非常に悩ましい問題である。
その様なお悩みをお持ちの場合は経験豊富な支援会社(例えば当社など)に相談する事も選択肢の1つとして考えておいた方が良いかもしれない(相談は無料である)。
次回は越境ECにおすすめのプラットフォームについて書こうと思う。