前回までは、越境ECにおけるプラットフォームの選定に当たって、実際に必要になる機能を軸に考察をしてきた。越境ECの運営に当たりどの様な要件が求められるのかは、ざっくりとご理解いただけたのではないかと思う。
ただ、必要な条件を全て揃えるために始めから多額のコストや時間を費やしてECサイトを構築する必要が本当にあるのだろうか?
答えは否である。
よほど潤沢な資金のご用意があれば話しは別だが、ECサイトは構築することよりも、運用して売上を上げることの方が大事なのである。
巨額の費用もかけずに、そのような条件の整った都合の良いサイトを始めから構築可能なECプラットフォームなどというものが、はたしてこの世に存在するのだろうか?
答えはYES!^^、である。
今回は、越境ECを始めるに当たっておすすめのプラットフォームShopifyについてご紹介させていだだこうと思う。
Shopify・越境ECにおすすめのECプラットフォーム
Shopifyとは
世界で一番使わているASP型ECプラットフォーム
現在時点でのShopify使用ストア数は世界中で600,000ストアを超えており、ストア上での総売上は630億ドル以上。(2018年6月25日現在)
これほど世界中で多くのマーチャントに支持されているECプラットフォームが他にあるだろうか?
多言語・多通貨にも対応
50の言語、130ヶ国以上の通貨に対応しており海外に販売するにはまさにうってつけである。
PayPalとstripeにも標準対応
2大決済サービスプロバイダであるPayPalとStripeにも対応しているので決済面は安心である。
その他にも2Checkout, Alipay Global, BitPay, Coinbase Commerce, CyberSource, GoCoin, KOMOJU・コンビニ決済, PUT IT ON LAY-BUY, バンバンバンなどの決済に対応している。
ただ、昨今Shopify Paymentという、業界全体を揺るがす神決済サービスが日本に上陸した。
こちらについては仕様が明らかになり次第、順次情報を共有していく予定である。
2018年6月27日に、「Shopify Unite」という、いわゆる楽天カンファレンスのような会が、東京渋谷でとり行われ、そこで軽くShopify Paymentについての発表があったのだが、本格的なサービスの拡充は2018年の秋ごろになりそうということだ。
代行をしている弊社としては、Shopify Paymentを即導入したいと考えている次第である。
自動のアップデート
Shopifyは自動でアップデートされる。
WordPressなどの様に、アップデートの度に更新作業などしなくても、常に最新の機能を利用することができるのだ。
ただ、Apps(アプリ)とTheme(テンプレ)に限ってはその様にはまだなっていない。便利だからと闇雲に入れまくると、後々困るので、Shopifyエキスパートに相談しながら進める事を推奨する。
費用面も見てみよう
出典:Shopify公式サイトより
低コストでスタートできるシンプルな料金体系
Shopifyでは初期費用が無料。ビジネスのサイズに応じて上記のプランから最適なものを選べるようになっている。
取引き手数料
Basic Shopifyのプラン・・・2%、
Shopifyプラン・・・1%、
Advanced Shopifyプラン・・・0.5%
国内向けのCMSを利用している方々からすると、
「自社サイトなのにマージン発生するの?」
と思われるかもしれないが、トータルのコストで比較すると、費用面では優位性がある。
細かい計算で証明する必要があるため、ブログでは表現しにくい。話せば長くなるので今回は割愛する。
$29のプランと$79のプランで、出来ることはさほど変わらない。
その為、単純に決済手数料と取引手数料の差がポイントになる。
ざっくり月商で$5,000(50万円程度)売れるようになったら切り替えればいいか、と覚えておけば良いだろう。
また、上記の取引き手数料は決済にShopify Paymentsを利用すると無料になる。
商品数が無制限
登録できる商品数がプランによって制限されているECプラットフォームが多い中、Shopifyでは登録できる商品数が無制限という点も素晴らしい。
これは、最安プランでも同様である。
カゴ落ち対策
さらにはチェックアウトを放棄(カゴ落ち)したユーザーに対して、自動でメールを送信して追客できる機能(いわゆるカゴ落ちメール)も月額$29のBasic Shopifyのプランから標準装備されている。
通常この様な機能は他社CMSなどでは有料オプションの場合が多い。
SNSやブログとの連携が簡単にできる
Facebookページと接続して自社のFacebookのSHOPページに商品を自動で掲載することが可能。
在庫や価格等の情報がShopifyのシステムと連動しているので、在庫状況やSALEなどによる価格の変更にも自動で対応してくれるので更新の手間がかからず非常にありがたい。
また、最近日本でもInstagram販売チャネルにも対応している。画像にタグ付けして、チェックアウトに飛ばせるアレだ。
世界中で毎日5億人が利用していて、私の祖母もやっているInstagram上でも販売をすることができるのだ。
Buy Buttonの機能を使うとブログや外部のウェブサイトにShopifyのチェックアウトと接続する購入ボタンを表示する事もできる。
このようにFacebook、Instagram、ブログ、ウェブサイトとあらゆるシーンにおいて顧客はShopifyのチェックアウトとへと繋がる購入ボタンを目にする事になる。
豊富なテーマ
Shopifyテーマストアには、世界的に有名なデザイナーによって作成された100種類以上のテンプレートが用意されている。これらの殆どがモバイル、タブレットにも対応したレスポンシヴデザインだ。
もちろん、これらをDLしてフロントだけ構築しても、商品登録やその後の作り込みの部分は他のシステム同様ある程度の知識は必要になるのが事実だが、取り急ぎ立ち上げて売る、ということに関しては申し分ないだろう。テーマを自分で構築出来るような方であれば、世界に向けて和風のECテーマを販売することも可能だ。
無料のテーマもいくつかあるが、どのテーマも申し分なく良い造りをしているので、是非一度ご覧いただきたい。
Shopifyテーマストア (https://themes.shopify.com/)
テーマごとにそれぞれ特色があり、単品商品に適したLP型のテーマや、シンプルな小規模店舗向けのテーマ、複数のカテゴリをカバーできる中規模店舗向けのテーマや、メガメニューを備えた大規模店舗向けのテーマまであらゆるサイズのストアに合わせた様々なテーマが揃っている。
また、動画コンテンツに最適なテーマやグローバルメニューに画像を表示できるテーマ、ブログなど記事を中心に据えたテーマなど、特徴的な仕様のものも多数存在している。自身のストアのスタイルに合わせて最適なテーマを見つけて、そのまま使っていただいても十分素晴らしい仕上がりとなっている。
非常に高機能
Apps(アプリ)も充実しておりShopify App Storeでは2000種類以上のAppsが公開されている(2018年6月25日現在)。
Shopifyアプリストア (https://apps.shopify.com/)
アプリストアでは、多言語化のアプリや通貨のアプリをはじめ、様々なジャンルのアプリをバラエティ豊かに取り揃えている。
ご存知の通り、昨今のIT・WEBツールベンダー各社は一つのプラットフォームでなんでもかんでも提供しておらず、サードパーティー性のアプリやツールと自社のプラットフォームを接続出来るようAPIという物を使ったりして連携出来るようになっている。
追加で欲しいと思った機能も比較的低コストで導入することが可能(アプリの利用は、個別に月額利用料が発生する)なので必要なものから徐々に増やしていくのもよいだろう。
AmazonやeBayなど海外モールと連携するためのアプリも複数存在しているので、これらのアプリを使えば海外モールへの出品も比較的簡単に行うことが可能である。
このように、Shopifyを中心として、世界中の優秀なエンジニアがプロダクトを開発し、エコシステムが形成されている。この流れに乗らない手はないだろう。
Shopifyのストアをスマホでいじれるモバイルアプリ
Shopify公式ブログより参照
Shopifyではスマートフォンでストアを管理できる Shopifyモバイル(Android/ iOS対応)が存在している。Shopifyモバイルを使えば、受注処理や注文のフルフィルメント、顧客への連絡、商品の価格や情報の更新、ストアの分析などがスマートフォン一つでどこからでも簡単に行うことが可能になるのである(しかも日本語対応)。
もっとも秀逸で気に入っている点は、デフォルトで設定されている、注文があった時のプッシュ通知の音である。
これはブログで表現できない為、体験していただくしかない。
まとめ
このように、越境ECを成功させる為の機能が盛り沢山なShopifyを使えば、簡単かつ低コストでクオリティの高いECサイトを構築することが可能になる。
無料で14日間お試しのキャンペーンなども行っているので、一度機能や使用感をチェックして導入を検討してみるにはちょうど良い機会ではないだろうか。(2018年6月25日現在)
ここまで、Shopifyの機能性や利便性について書いた。越境のプラットフォームでは他にもMagento, BigCommerce, Woo Commerce, など様々なシステムがあるが、あまり色々と検討してもややこしくて挫折すると思われる。
弊社としては、まず始めるならShopify一択ではないかと思っている。
もしも、より高機能なカスタマイズを実装したい場合は、価格表に載っていない「Shopify Plus」というエンタープライズ版も用意されている。メガブランドで越境を検討されている読者の方々は、こちらからのスタートとなるだろう。
ただ今回は、まず始めることを主眼に置いた為、詳細には触れていないが、Shopifyというプラットフォームは、エントリーモデルから最高クラスまで取り揃えた、まさにECのプラットフォームにおけるトヨタのような存在だ、という事である。
ここまで良いことばかり紹介してきたが、追いついていない部分も実際無いわけではない。
例えば、Shopifyのメイン管理画面は日本語対応が進んだが、テーマやアプリのインターフェース、およびそれらのサポートは基本的に英語となっており、アプリのインストールなどにおいて、万一バグなどが発生した際には、時差のある現地のサードパーティー各社と、メールやチャットなどでやり取りをして修正を依頼しなければならない。
日本語ですらややこしいシステムのバグ対応依頼を、英語でやるとなると英語ぺらぺらの弊社代表でも多少のストレスがあるようである(私は性格上、スクショ撮って、これを直しなさいと言うだけの機械の様な対応なので、あまり無いが)。
それに不安を感じる場合は経験豊富な支援会社(例えば当社など)に相談する事も選択肢の1つとして考えておいた方が良いかもしれない(相談は無料である)。