導入
全国にたくさんのファンを持つ次世代型カフェ「天狼院書店」を運用する東京プライズエージェンシー株式会社(以下天狼院書店)様の事例インタビュー記事です。
天狼院書店は以前WordPressをベースとしたプラグインによるカスタマイズでECサイトを運用していましたが、対応している決済手段が少なく、コンバージョン率に課題を抱えていました。コンバージョン率が悪いと、当然web広告を始めとした販促活動の売上も思ったように伸びず、PDCAも回しにくいという問題がありました。
この一連の課題を解決するために、カートの移行を検討、その中で弊社にご依頼をいただき、2023年にShopifyでのサイト構築及びそれに紐付く決済手段の充実、そしてShopifyとFacebook広告の連携支援などを行い、問題の解決に取り組みました。今回は天狼院書店の担当者である鳥井様に弊社で構築を担当した野中が、Shopifyに乗り換えるメリットについて、インタビューをしました。
野中:
鳥井様ご無沙汰しております。本日はよろしくお願いいたします。
鳥井様:
ご無沙汰しております。何でも聞いて下さいね!
野中:
早速ですが、1年間運用してみてどうでしょうか?
鳥井様:
移行初期のときは苦戦していましたが、現状はサイト登録にも慣れてきました。
実際の運用についても答えさせていただきます。
天狼院書店について
ーまずは天狼院書店さんのビジネスについて教えて下さい。
鳥井様:
弊社は社名の通り基本的には書籍を軸とした各種サービスを提供しておりまして、コンセプトとしては「本と、本の先の体験を提供する」です。具体的にはAIの活用、デザイン、写真、動画、ライティングなど様々な分野のプロの方による学習講座を行っています。講座のほとんどは店舗での受講となりますが、一部オンラインで受講可能なものもあります。
店舗は、渋谷・湘南・名古屋・京都・福岡にあり、単なる書店以上の「学びと出会いの場」として、多くの方にご利用いただいており、来店者が本を手に取り、読むだけでなく、体験や知識の共有を通じてクリエイティビティを高める場を提供しています。
ー貴社は有料会員サービスを行っていますが、どのように運営されていますか?
鳥井様:
弊社の有料会員サービスは、月額¥11,000〜の料金体系で運営されており、Shopify対応のサブスクリプションアプリを導入しています。このアプリにより、毎月月初に自動的に月額費用が引き落とされる仕組みとなっています。
ー学習講座関連の領域はレッドオーシャンなイメージがありますが、貴社の有料会員は伸び続けてますよね。会員数が伸びている理由はどのようにお考えでしょうか?
鳥井様:
1番は「講座の再現性が高い」ところかなと思っています。その講座を聞いていただいた時に、「いやすごいプロの〇〇さんだからできるんでしょう」という属人的なものではなく、しっかりと学んで実践していただければ、スキルが身につくという再現性を重視したコンテンツになっています。そこで満足いただいた結果、次のリピートにつながっているので、ここが一番の強みです。
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また、有料会員になる基本的なメリットとしては他にも2点ほどありまして、まず1つめは、講座や書籍を割引価格で購入できる点です。有料会員の方々は、弊社の提供する講座や書籍に非常にご満足いただいており、割引を活用することで、年間の学習にかかる費用が通常会員よりもお得になるケースが多々あります。
2つめは、専任の担当者がつくことです。専任担当者との継続的なコミュニケーションを通じ、講座後のスキルアップを全面的にサポートしています。専任の担当者は、会員様の相談に乗るだけでなく、スキルアップに関する最新の情報を提供できる点も大きなメリットのひとつです。
オンラインストア移行の背景
ー今回サイトのリニューアルを検討したきっかけを教えて下さい。
鳥井様:
「広告の費用対効果を最大化する」というのが一番のミッションではありました。
WordPressでは分析機能がデフォルトで備わっておらず、広告経由の売上や平均単価等を分析するのに苦戦していたため、施策の検討に苦戦していました。
また、セキュリティなどの理由から決済手段をPayPalのみ導入しておりました。購入者がPayPalユーザーに限定されているため、広告経由の売上を上げようとしてもユーザーが使いたい決済手段で購入できない障壁がありました。
Shopifyは対応している決済手段が豊富なのと、デフォルトで分析機能がついているため、それらの根本的な問題を解決しつつ、ECサイトとの連携もスムーズであるため、広告運用における簡便性を考えShopifyへの移行を決定しました。
ーリニューアルした後の成果はいかがですか?
鳥井様:
Shopifyへの移行により、新たにクレジットカード、Amazon Pay、Paidyなどの多様な決済方法を導入しました。この結果、より多くの決済オプションが提供され、顧客にとっての利便性が飛躍的に向上しました。実際に、お客様からも「使いやすくなった」という声を多くいただいており、売上も順調に伸びております。
また、Shopifyのストア分析機能を活用することで、売上やセッション数、クリック率などのデータをリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、広告キャンペーンを随時最適化することが可能となり、運営直後から費用対効果が劇的に改善されました。広告パフォーマンスを正確に把握し、迅速にPDCAサイクルを回すことで、投資に対するリターンを最大化する運営がある程度実現しています。
ー会費の徴収はサブスクアプリを活用していらっしゃいますが、オペレーション的には以前と比べてどうですか?
鳥井様:
有料会員関連の運営はかなり改善されました。旧カートではPayPalの定期支払機能を利用していたのですが、顧客が自分でサブスクリプションを解除できたため、正確な会員数の把握が難しく、管理が煩雑でした。また、詳細は割愛しますが、以前のサイトでは商品詳細ページのUIに課題があり、その結果誤注文も多かったですね。
Shopifyに移行して、現在ではサブスクリプションを顧客側で解除できないように制限しているので、現在有料会員が何人いるのか、またスタッフが担当している有料会員が何人かを把握するのが非常に楽になりました。
また、UIもある程度すっきりしましたし、会員/非会員の判定による割引なども制御した上で、然るべき案内がポップアップで表示されるなどのUXも改善されたと思います。
オンラインストア構築の過程について
ーShopifyのサイト構築で一番大変だったことを教えて下さい。
鳥井様:
商品登録は1番大変でしたね。1つ1つの商品ごとに訴求したいポイントが異なるので、私たちがやりたかったことが画一的な商品ページでは表現できませんでした。そのため、それぞれの商品に合わせたページ要素と表示順序を実現するために、わざわざ商品ページのテンプレートを大量に作成していく必要がありました。もっといいやり方があったかもしれませんが、時間とお金の制約がある中で、一旦はその時に考えられる最善で行った感じですね。
ただ、そこで手間をかけたので、ページの内容をShopifyのグラフィックユーザーインターフェースを利用してほぼノーコードで編集できるのは良かったと思います。
野中:
ー数百種類以上ある商品を2週間ほどで全て登録されていたのが非常に印象的でした笑
鳥井様:
そうでしたね笑
公開までタイトなスケジュールでしたが、野中さんにも手厚くサポートしていただいたので。ハンズオンでレクチャーまで対応してくれたところが非常にありがたかったです。
チャットツールでのやり取りは勿論、週に1回必ず定例MTGを行っていただいたので、わからないところもタイムリーに質問できました。
またレクチャーをZoomで録画しながら行って頂いたことが非常に助かっていました。MTG中に全ての作業を行えるわけではないので、レクチャー動画を見ながら作業ができたのは非常にありがたかったです。
野中:
恐縮でございます汗
実際のMTG風景
オンラインストアの運営
ーECサイトをリニューアルしてから約1年が経過しました。決済手段の拡張や広告の費用対効果改善以外に、Shopifyに移行して良かったことがあれば教えて下さい。
鳥井様:
主に3つありまして、1つ目は「Buyボタン」が使える点です。
弊社はブログなどのコンテンツに力を入れているのですが、ブログは今でも旧サイトで運用しています。ブログの一番下に「Buyボタン」を設置することで、自動でShopifyのチェックアウトページに遷移するシームレスなUXなので、実際にはサイト間を移動していても顧客が離脱する可能性が非常に低いと実感しています。
2つ目はちょっと細かい話になりますが、商品データの構造とそれに関するUIへの反映です。
弊社では1つの講座を複数の日程×店舗で開催するため、1つの講座に対してのパターンが膨大になってしまいます。旧カートでは各パターン毎に対応するPayPalの決済ボタンを商品ページに埋め込んでいたので、ボタンがズラッと並んでいてUI的にもあまり見易いとはいえない状態でした。そう作りたくてそうしたというよりは、そうせざるを得ないカートの仕様だったためではありますが、登録する行為自体も非常にめんどくさかったです。
Shopifyではそれらの情報を商品のバリエーションを使って整理し、ページ上でも1つのカートに入れるボタンで済むので、ページ内で特に訴求したい情報の比率をより高て、お客様にもスムーズに決済に進んでいただくことができていると思っています。
最後に3つ目はデフォルトのストア分析機能です。
Shopifyはよくある売上やセッション数やコンバージョン率だけでなく、顧客データや在庫の完売状況などストアを運用する上で重要でありそうでない情報の分析が、なんと無料で付いているので、それが非常に役立っていますね。
ーご代表の三浦様がストア分析をリッチにするためにプランをアップデートしましたね笑
鳥井様:
そうでしたね、今でもスタッフと共に何が売れたかを分析していますよ。
実際にShopifyで確認できる分析レポートのサマリー
ー先程Buyボタンの話がでましたが、ブログから購入がメインの流入経路になるんでしょうか?
鳥井様:
そうですね、かなり昔からブログを執筆しているのでコアなファンがいるんです。この方達に講座に申し込んでいただいたり、商品を購入していただく際に非常に役に立っていると感じています。今後はそれらの購入比率などもつぶさに見ていきたいところではありますね。
最後に
ー今後Shopifyで実現していきたいことを聞かせてください!
鳥井様:
Shopifyでというか、普通にECサイトとしてお客様にもっと商品の魅力を訴求できるように商品の見せ方を追求していきたいです。
冒頭申し上げた通り、弊社の商品の魅力はその学習内容の再現性や即時性にあるのですが、それらをもっとしっかりと伝えて講座の受講者数を伸ばしていきたいと思っています。そのためには講座やその講師に関する情報量も増やしていく必要があると思いますし、検討が必要ですがレビューの活用などもこれから新たに学習を検討されている方には重要な情報になると思いますので。
また、メルマガやCRM施策を通じて顧客との接点を増やしていきたいです。弊社サービスのコンセプトである「本と、本の先の体験を提供する」には継続して学習を続けていただきたいという思いがあります。また、提供価値である「学びと出会いの場」に共感していただくためにも、そういった機会についても定期的に情報配信し、コミュニティの輪を広げていきたいと考えております。
学習も継続してこそ意味がありますし、受講した方がこれから受講を考えている方々と良い形で交流していただけるようなサービスの構築に尽力していく所存でございます。