私はAlphabetの株を長期保有している。いわゆるガチホロング勢である。
したがって、Alphabetの四半期決算は定期的に確認している。
ただし、決算資料、説明会、関連するプロダクト発表、ニュース記事を、毎回自分ですべて巡回しているわけではない。現在はAIにタスクを設定し、Alphabetをはじめとする巨大プラットフォームの決算や発表の中から、私の本業であるECやShopifyに関係しそうな情報も定期的に収集してもらっている。
Alphabetの株主として見ていたニュースの中に、たまたま自分の業界に関係する話も一緒に流れてくる、という状態である。
今回、その中で目についたのが二つの話だった。
一つは、Alphabetの2026年第2四半期決算で、「Google Search & Other」の売上が前年同期比17%増と、依然として大きく伸びていたこと。
もう一つは、GoogleがUniversal Commerce Protocol、以下UCPを通じて、AI ModeやGeminiの中で商品発見から購入までを進めようとしていることだ。
AIが検索を代替し、Googleの広告事業を弱体化させるという話は、ここ数年ずっと言われてきた。
しかし、少なくともGoogle自身の説明を読む限り、AIは検索広告を防衛しているだけではない。これまで広告対象にしにくかった検索まで、新たな広告市場へ変え始めている可能性がある。
さらに、その検索の先にある商品発見、会員認証、チェックアウト、決済まで、Googleのサービス内へつなごうとしている。
検索広告の成長とUCPは、一見すると別々のニュースである。
しかし、続けて見ていくと、同じ変化の前半と後半なのではないかと思えてくる。
Googleは、これまで広告にできなかった検索を広告在庫に変えようとしている
まず、Google検索の広告売上が17%伸びた理由から考えてみたい。
もちろん、Googleは17%の成長を、検索回数、広告表示回数、クリック率、クリック単価、為替、広告主の業種別需要などに分解して開示しているわけではない。
したがって、以下はGoogleの説明をベースにしつつ、私なりにその構造を整理したものである。
AIによって検索回数そのものが増えている
Googleの説明はかなり明確だ。
Sundar Pichaiは今回の決算説明で、AIが検索に「expansionary moment」をもたらしていると表現している。
日本語にすると、AIによって既存の検索が置き換えられているのではなく、検索という行為そのものが拡張されている、という意味に近い。
同じ決算発表の中では、AI Modeは世界で月間利用者10億人を超え、AI Overviewsと同様に「incremental increase in Search queries overall」、つまりGoogle検索全体のクエリを純増させているという。
AIを使えば、一回質問して答えを受け取れば済むのだから、検索回数は減るようにも思える。
しかし実際には、最初の回答を受けて条件を追加し、候補を比較し、さらに質問するという連続的な利用が生まれる。
たとえば、これまでなら、
「東京 ホテル おすすめ」
と検索して、いくつかのリンクを見るだけだったかもしれない。
それがAI Modeでは、
「8月に家族3人で泊まれて、駅から近く、部屋が広く、朝食がおいしいホテル」
と聞き、出てきた候補に対して、
- 「この中で子ども向けの設備が充実しているのはどこか」
- 「空港からの移動が一番楽なのはどこか」
- 「同じ価格帯で、もう少し静かなホテルはないか」
と会話が続く。
一つの目的に対して、Googleとやり取りする回数が増える。
これがまず、広告機会の母数を増やす。
検索が、キーワードから自然な会話へ変わる
Googleは小売業界向けの発表で、AI Modeによって購買行動が「from keywords to natural conversations」へ移っていると説明している。
従来の検索広告は、かなり乱暴に言えば、広告主が登録したキーワードと、ユーザーが入力した検索語を結び付ける仕組みだった。
「黒いスニーカー」と検索されたら、黒いスニーカーを販売する事業者が広告を出す。
しかし、自然な会話になると検索内容は大きく変わる。
「雨の日にも使えて、通勤にも履いていけて、幅広の足でも痛くなりにくい黒いスニーカー」
ここまで具体的な条件を、広告主が事前にキーワードとしてすべて登録することは難しい。
一方でGoogleから見れば、検索文が長くなった分だけ、
- 何を探しているのか
- どのような場面で使うのか
- 何に困っているのか
- どの条件を重視しているのか
- どの程度購入意向があるのか
が詳しく分かる。
つまり、AI検索はユーザーへ回答する装置であると同時に、消費者自身から、より詳細な購買意図を引き出す装置でもある。
従来の短いキーワードよりも、会話の方が、その人に何を売ればよいのかは分かりやすい。
問題は、それを広告へ結び付ける技術があるかどうかだった。
Geminiが検索文の意味を理解し、広告主の商品と結び付ける
そこで出てくるのが、Geminiによる検索意図の理解と、AI Maxなどの広告商品である。
従来の検索広告では、広告主側が、
- キーワードを選ぶ
- マッチタイプを決める
- 広告文を作る
- 入札額を調整する
- 除外キーワードを設定する
といった作業を行ってきた。
しかし、検索が長く複雑になるほど、広告主が自力ですべての需要を予測するのは難しくなる。
現在のGoogleは、広告主が設定したキーワードだけでなく、
- 商品フィード
- Webサイトの内容
- 過去のコンバージョン
- 広告クリエイティブ
- 顧客が購入した商品
- Googleが理解した検索意図
などを使い、どの広告を表示するかを判断する方向へ進んでいる。
広告主が検索語を細かく指定するのではなく、Googleが需要を発見し、適切だと判断した広告主へ割り当てる。
Googleは以前からPerformance Maxでこの方向へ進んでいたが、AI Maxでは検索広告そのものに、より強くこの考え方を持ち込んでいる。
キーワード運用がなくなるとまでは思わない。
ただ、広告主や代理店が発見できなかった需要を、Googleが代わりに発見する割合は高まっていく。
「これまで収益化できなかった数十億件の検索」
今回の決算説明会で、最も印象的だったのがこの発言だった。
GoogleのChief Business OfficerであるPhilipp Schindlerは、決算説明会の逐語録の中で、AI Maxについて、
billions of net new searches that weren’t really monetizable before
を新たに広告対象にしていると説明した。
日本語にすれば、これまで実際には収益化できなかった、数十億件規模の新しい検索、という話である。なお、この発言は逐語録に基づくもので、Google公式ブログに掲載されたCEO発言の編集版には含まれていない。
この言葉を、そのままGoogleの都合のよい宣伝文句として読み飛ばすこともできる。
しかし、ここまでの流れを整理すると、少なくとも理屈は通っている。
広告在庫が広がるまでの5段階
- AIによって検索回数が増える
- 検索内容が長く、具体的になる
- Geminiが検索者の意図を理解する
- 広告主が登録していない検索にも広告を当てられる
- 従来は広告が成立しなかった検索が、広告在庫になる
Googleは単に既存の広告枠の単価を上げているのではない。
検索広告として販売できる検索の範囲そのものを広げようとしている。
これは、広告単価が何%上がったという話よりも、構造的には大きい。
広告主側にも、予算を広げる理由が生まれる
広告が表示できる検索が増えても、広告主の成果が悪ければ予算は増えない。
Googleは、AI MaxやPerformance Maxを利用する広告主は、同程度のROASで平均15%多くのコンバージョン、またはコンバージョン価値を獲得していると説明している。
また、同じ決算説明会の中で、AI Maxは50万社以上の広告主に採用されているという説明もあった。
もちろん、これらはGoogle自身による集計である。
どのような広告主が対象なのか、AI Maxを導入しなかった場合と完全に比較可能なのか、利益ではなく売上ベースのROASではないかなど、広告主側から見れば確認したいことは多い。
それでも、従来と同程度の効率を保ちながら、これまで獲得できなかった顧客を取れるのであれば、広告主が予算を広げる合理性はある。
検索広告売上の成長は、
- 検索回数の増加
- × 広告対象にできる検索の割合
- × 広告主が許容する投資額
の掛け算で起きている可能性がある。
広告運用の仕事が、Googleへ渡すデータの設計へ移る
この変化が続くなら、広告運用の仕事も変わる。
これまでは、どのキーワードに、いくら入札し、どの広告文を出すかという操作に、かなりの時間が使われてきた。
しかし、Google側の自動判断が強くなるほど、事業者側で重要になるのは、
- 商品名
- 商品カテゴリー
- サイズ、色、素材、用途などの商品属性
- 商品フィードの正確性
- コンバージョンデータの質
- 新規顧客と既存顧客の違い
- 商品ごとの利益率
- 在庫
- 顧客の継続価値
などになる。
Googleの広告管理画面を操作する技術よりも、Googleに何を学習材料として渡すかを設計する能力の方が重要になっていくかもしれない。
EC事業者にとっては、広告チームだけの話ではない。
商品マスタ、顧客データ、在庫、利益管理、計測基盤までつながった話になる。
もちろん、Googleに都合のよい説明ではある
ここで一度、冷静になる必要がある。
今回の17%成長についてGoogleは、
- 検索回数が何%増えたのか
- 広告表示回数が何%増えたのか
- クリック単価が何%上がったのか
- AI Maxが何ポイント寄与したのか
- ワールドカップが何ポイント寄与したのか
- 為替がどの程度影響したのか
を開示していない。
「AIによって検索利用が増え、広告主の成果も改善した」という説明は、巨額のAI投資を正当化したいGoogleにとって、非常に都合のよいストーリーでもある。
また、Google検索の利用回数が増えても、ユーザーが広告をクリックせずAIの回答だけで満足するケースもあるはずだ。
AI Mode内の広告フォーマットも、まだテストや初期展開の段階にある。
したがって、Google検索広告が17%伸びた、つまりAI Maxが大成功し、検索広告市場が永久に拡大する、とまで言うのは、さすがに早い。
私自身も、Google側に都合よく説明されている部分を、多少差し引きながら読んでいる。
それでも、これまで広告対象にできなかった検索を、AIによって広告在庫へ変えるという可能性について、無防備でいるわけにもいかないと思わされた。
少なくともEC事業者や広告運用会社は、これまでと同じキーワード運用の延長だけで未来を考えるべきではない。
Googleが本当に検索広告の対象市場を広げ始めているなら、その変化は、広告運用の方法だけでなく、商品データ、顧客データ、計測基盤、支援会社の仕事まで変える可能性がある。
ShopifyはUCP一色だが、Google側から見ても本当にそこへ向かっているのか
Googleの検索広告について調べていると、その先にUCPの話が出てくる。
現在のShopifyは、かなりUCPとAgentic Commerce一色である。
Shopify側の発表だけを読んでいると、ECサイトを訪問せず、ChatGPT、Google、Microsoft CopilotなどのAI上で商品を見つけ、そのまま購入する時代が、既に始まっているかのように見える。
一方で、私はこれまで、AIエージェント上で買い物が完結する未来について、比較的慎重な立場を取ってきた。
ECサイトの役割は、まだ全然終わらない。
商品によっては、ブランドの世界観、豊富な説明、レビュー、比較、購入後の安心感まで含めて、ECサイトで確認したいはずだ。
そもそも消費者は、本当にLLMとの会話の中で決済まで完了したいと思っているのか。
日用品の再購入や、条件が明確な商品では便利かもしれない。
しかし、高額商品、嗜好性の高い商品、ブランドの背景を理解して選ぶ商品まで、すべてAIとの会話だけで買いたいという需要が、現時点で大規模に顕在化しているとは言いにくい。
私はこれまでも、そのような趣旨の記事を書いて公開してきた。
そこで、Shopifyの発表だけを見て、ついにECサイトが終わる、という話にするのは、自分のこれまでの主張とも合わない。
ここからは、Shopify側だけでなく、Google側がUCPをどのように説明しているのかを照合しながら考えてみたい。
Googleは、ショッピング体験がキーワード検索から自然な会話へ移ると説明している。
一方、UCPによる購入体験については、まずNative Checkoutから始める段階であり、Google Merchant Center上の連携機能も、現時点では米国の一部マーチャントを対象とした限定的なパイロットである。
UCPの仕様に書かれていることが、すべてGoogle上で利用できるわけでもない。
Google自身も、UCPは進化中の規格であり、Googleの各画面で利用できる機能とは区別して考えるよう説明している。
つまり、Googleも「既存のECサイトを明日からすべて置き換える」と言っているわけではない。
現時点では、EC事業者が持っている取引機能を、Googleの検索やGeminiから呼び出せるようにする、という方が正確だろう。
Shopifyはかなり先を見て全振りしている。
Googleも確かに同じ方向へ動いている。
ただし、消費者が実際にどの程度そこで決済するのかは、まだこれからである。
Googleから見たUCPは、どのような購入体験なのか
UCPは、AIエージェントとEC事業者が商取引を進めるための共通プロトコルである。
たとえばAI側から、
- チェックアウトを作成する
- 商品と数量を変更する
- 配送先を反映する
- 配送方法を選ぶ
- 税、送料、割引を再計算する
- 決済する
- 注文を確定する
- 注文後の状態を取得する
といった操作を行う。
Googleが現在想定しているNative Checkoutでは、商品を探す段階ではAIと会話し、購入を決めた後はGoogleが用意した決定論的なチェックアウト画面へ移る。
住所や決済情報のような重要情報を、AIが曖昧な判断で勝手に処理するわけではない。
ユーザー自身がGoogleのUI上で内容を確認し、Google Payなどを利用して購入を確定する。
また、注文の販売主体、Merchant of RecordはGoogleではなく、引き続きマーチャントである。
顧客関係、注文、購入後の対応もマーチャント側に残るとGoogleは説明している。
Googleは顧客情報を丸ごと取得するわけではない
GoogleはUCPのIdentity Linkingによって、会員特典、パーソナライズされたオファー、保存済み住所、注文履歴などを利用できるとしている。
この説明だけを読むと、GoogleがEC事業者の顧客情報を取得し、自分で会員ランクや割引を判断するようにも聞こえる。
しかし実際には、OAuth 2.0を使ったアカウント連携である。
ユーザーがGoogleとマーチャント側のアカウントを接続することに同意すると、Googleはそのユーザーの代理として、マーチャント側のチェックアウトを呼び出せる。
Googleが顧客データベースを丸ごと複製するのではない。
認証された顧客として問い合わせを行い、マーチャント側が、その人に適用される価格、割引、送料などを計算して返す。
UCPで実際に起きていること
- Googleが会員ランクを取得して、自分で割引を決定する、というより、
- Googleから認証済みの顧客としてチェックアウトを呼び出し、EC基盤が計算した結果をGoogle上へ返す、という仕組みに近い。
RESTとGraphQLは矛盾しない
UCPの説明では、Google向けのNative CheckoutとしてREST APIを実装すると書かれている。
一方、ShopifyはAdmin APIをGraphQLへ移行している。
REST Admin APIは2024年10月からレガシー扱いとなり、2025年4月以降、新規の公開アプリはGraphQL Admin APIを使うことが求められている。
では、ShopifyはUCPのためにRESTへ逆戻りしたのか。
そうではない。
ShopifyのAdmin APIと、GoogleがShopifyを呼び出すUCPの通信方式は、別のレイヤーの話である。
Google向けの入口では、UCPに準拠したRESTエンドポイントを公開する。
その奥でShopify Checkout、顧客、商品、在庫、割引、Functionsなどをどのように動かすかは、Shopify内部の実装である。
Shopify内部ではGraphQLや独自のサービス基盤を使っていて構わない。
イメージとしては、
- Google、Gemini
- ↓ UCPのREST
- ShopifyのUCP接続層
- ↓ Shopify内部のAPIとサービス
- 商品、顧客、在庫、割引、チェックアウト
という構造である。
また、UCP自体はRESTだけに限定されておらず、MCP、A2A、Embedded Checkout向けのJSON-RPCなど、複数の通信方式を想定している。
Googleの現在のNative Checkout実装がRESTを使っている、という話と、ShopifyがGraphQLを中心にしていることは矛盾しない。
UCPはShopifyのものではない。それでもShopifyが圧倒的に先行している
UCPはShopifyだけの規格ではない。
GoogleとShopifyが共同開発したオープン規格であり、Amazon、Meta、Microsoft、Salesforce、Stripe、Etsy、Targetなども支持している。
理論上は、国内カートも、独自のEC基盤も対応できる。
それでも、インターネット上では、UCPがほとんどShopifyの新機能であるかのように語られている。
その理由は、Shopifyが規格を所有しているからではない。
Shopifyが、UCPを実際の流通へ乗せられる位置に既にいたからである。
Shopifyには、
- 数百万のマーチャント
- 数十億点の商品を扱うShopify Catalog
- 共通化されたチェックアウト
- Shopという購入者プロフィール
- Shop Payという決済基盤
- 割引、配送、税、決済の拡張基盤
- 巨大なアプリエコシステム
がある。
2026年3月には、数百万のShopifyマーチャントの商品がChatGPT上で発見・購入できるAgentic Storefrontsの展開が始まった。
Microsoft Copilotでは既に数千のマーチャントが販売し、GoogleのAI ModeとGeminiでも一部ブランドがUCPを利用した販売を開始している。
対象となるShopifyマーチャントでは、CatalogとUCPが原則としてデフォルト有効になる。
商品、価格、在庫はAIチャネルへ同期され、ChatGPT、Copilot、Google、Gemini、Shopなどの成果をShopify管理画面から確認できる。
さらに、Shopifyを本体のECカートとして使っていないブランド向けにもAgentic planを提供し、Shopify Catalogだけを使ってAIチャネルへ商品を出す道を用意している。
既に計測と改善まで始めている
ShopifyのSpring ’26 Editionでは、AIチャネル経由の注文、売上、コンバージョンだけでなく、
- どのAI検索で商品が表示されたか
- 自社商品が表示されなかった検索は何か
- 商品が表示されたが購入されなかった理由は何か
- 商品名や説明に何の情報を追加すべきか
まで管理画面で確認する構想が示されている。
Shopify自身の集計では、Shopify Catalogを使ったAI検索は、スクレイピングされた商品データを使った場合の2倍のコンバージョン率になったという。
また、Omniluxでは2026年3月にAIチャネル経由の売上が全体の3.2%を占め、Cozy EarthではAIチャネル売上が前年の20倍になったとShopifyは説明している。
当然ながら、いずれもShopify側が選んだ事例であり、全マーチャントの平均ではない。
それでも、UCPが単なる規格書ではなく、商品配信、受注、計測、改善まで実装され始めていることは重要である。
Shopifyが強いのは、UCPという仕様を共同開発したことだけではない。
数百万の店舗、数十億の商品、購入者ID、決済、チェックアウトを、既に一つの基盤として外へ出せることにある。
これが、UCPをShopifyのものに見せている。
Shopifyに会員ランクもポイントもないのに、会員向けの購入体験はどう成立するのか
GoogleはUCPによって、会員価格やロイヤルティ特典、過去の購入履歴に応じたオファーを利用できると説明している。
ここで、個人的に一つ疑問を感じた。
Shopifyには標準で、
- 会員ランク
- ポイント残高
- ポイント有効期限
- 次のランクまでの購入額
- 使用可能ポイント
といったフィールドが存在しない。
実際のShopify案件では、ロイヤルティアプリがCustomer metafieldや外部データベースを使い、それぞれ異なる形式で情報を保持している。
Shopifyの公式ドキュメントでも、ロイヤルティランクは標準データではなく、アプリがCustomer metafieldに保存するカスタムデータの例として説明されている。
では、Googleは何を見て会員向けの価格や特典を判断するのか。
実際には、先にShopify側の顧客アカウントへ接続する
この点は、想定されているユーザー体験を理解すれば、それほど矛盾しない。
AI上で購入する際には、ユーザーがShopアカウント、またはマーチャント側の顧客アカウントと連携する。
正確には、LLMが勝手にメールアドレスとパスワードを使ってログインするわけではない。
ユーザーの同意を得たOAuthなどによって、AI側へ購入操作の権限を渡す。
その後は、認証済みのCustomerとしてShopify側のチェックアウトが呼び出される。
たとえばロイヤルティアプリが、「このCustomerはGold会員である」と判定し、Shopifyの割引ロジックへ10%割引を反映しているなら、Googleが「Gold」というランク名の意味を理解する必要はない。
Shopify側から、
- 会員割引10%
- 会員限定送料無料
- この顧客だけ利用できるオファー
が反映されたチェックアウト結果を返せばよい。
つまり、Shopifyに標準の会員ランクフィールドがないため、UCPでは会員特典が使えない、というわけではない。
UCPが持ち出すのは、会員情報そのものというより、認証された顧客に対して計算された購入条件である。
Shopify CatalogもSign in with Shopに対応し、ユーザーが保存済みの購入者情報をAI上の体験へ持ち込めるようにしている。
ただし、ポイントの利用は割引より複雑である
会員価格や送料無料は、最終的な価格・配送条件として返しやすい。
一方、ポイントはもう少し複雑である。
AI上で、「現在1,250ポイントあります」と表示し、「今回は500ポイント使いますか」と確認する場合、ポイント残高を読むだけでは足りない。
- ポイントを仮押さえする
- 注文確定時に消費する
- 決済失敗時に戻す
- 注文キャンセル時に戻す
- 返品時に獲得・利用ポイントを再計算する
- 有効期限を考慮する
- クーポンとの併用可否を判定する
必要がある。
現在のShopifyでは、これらのロジックはSmile、Yotpoをはじめとするロイヤルティアプリや、独自開発の仕組みに依存している。
したがって、AI上で会員価格を反映することと、ポイントプログラムを完全に操作することは分けて考えた方がよい。
ロイヤルティアプリは今後どうなるのか
こちらの方が、個人的にはむしろ興味深い。
Shopifyはこれまでにも、外部アプリや個別開発が担っていた領域へ、少しずつ標準基盤を広げてきた。
サブスクリプションでは、契約や決済方法をShopify側のデータモデルで扱い、現在はShopify自身の無料アプリも提供している。
B2Bについても、会社情報、専用カタログ、掛け払い条件などのネイティブ機能を、2026年にはPlus以外のプランまで広げた。
メール、マーケティング、配送などでも同様の流れがある。
Shopifyがすべてを自社機能へ置き換えるとは限らないが、外部アプリが担っていた基礎機能を、Shopifyの標準データモデルへ取り込んできた歴史はある。
現時点では、Shopifyはロイヤルティアプリを排除するより、Shopifyの基盤へ接続しようとしているように見える。
Spring ’26では、SmileやYotpoなどがSidekick App Extensionsの初期パートナーに含まれている。
マーチャントはSidekickから、ロイヤルティアプリのデータを確認したり、アプリ内の操作へ移動したりできる。
今後考えられるのは、Shopifyがすべてのポイント制度を一つの標準機能に置き換えることではない。
むしろ、
- 会員ランクを取得する
- ポイント残高を照会する
- 獲得予定ポイントを計算する
- 利用ポイントを仮押さえする
- 注文確定時に消費する
- キャンセル時に返却する
といった共通のインターフェースだけをShopify側が定義する可能性がある。
内部のポイント制度やキャンペーン設計は各アプリが持ち、GoogleやChatGPTなど外部のAIチャネルへは、Shopifyを経由して共通形式で結果を返す。
そんな役割分担である。
もちろん、これは現時点でShopifyが正式発表している話ではなく、これまでのプラットフォーム拡張の歴史から考えた私の推測である。
ただ、この種のロイヤルティアプリは月額料金がかなり高い。
Shopifyが、AIチャネルを横断して会員情報を使うための標準基盤をどこまで内側へ取り込むのか。
マーチャントにとっても、アプリ事業者にとっても、少し気になるところである。
国内カートにとって、UCPはAPIを一本増やす話ではない
UCPはオープン規格なので、国内のECカートも対応できる。
Shopifyだけに許された仕組みではない。
ただし、注文登録用のAPIを一本追加すれば終わるわけではない。
GoogleやAIからチェックアウトを呼び出された際にも、自社ECサイトと同じ、
- 価格
- 在庫
- 割引
- 税
- 送料
- 配送可否
- 会員条件
- 決済条件
をリアルタイムに返す必要がある。
国内ECには、配送日時、のし、包装、複数配送、後払い、代引き、ポイント、定期購入、法人掛け払いなど、独自の取引条件も多い。
それらのロジックが管理画面、テンプレート、外部アプリ、基幹システムに分散している場合、AIから呼び出したときに同じ結果を再現するのは簡単ではない。
国内カートが終わる、Shopifyがすべてを取る、と断定するつもりはない。
私自身、国内カートの技術や事業に、そこまで詳しいわけでもなければ、国内カートを擁護する立場でもない。一方で、あえて危機を煽る理由もない。
ただ、AI上の商品発見と購入が一定規模へ成長した場合、外部の顧客接点から商取引機能を呼び出せる設計になっているかどうかは、大きな差になると思う。
各社の巨大な投資の先に、何が出てくるのか
ここまで、Google検索とUCPを中心に見てきた。
ただ、Alphabetだけでなく、Microsoft、Amazonなどの決算を続けて見ていると、もう一つ感じることがある。
各社が、クラウドやAIの需要、長期契約、受注残、計算資源の不足を、これでもかというほど強調していることだ。
Alphabetは2026年第2四半期にGoogle Cloudの受注残が5,140億ドルまで増えたと説明している。
MicrosoftのCommercial RPOは2026年3月末時点で6,270億ドルだった。
AmazonでもAWSを中心とする長期契約の未認識分は、2026年3月末時点で約3,640億ドルに達していた。その後の第2四半期にはAWS売上が37%伸び、AmazonはAI関連投資をさらに増やしている。
これらの数字が、すべて短期間で売上になるわけではない。
MicrosoftのRPOにはOpenAIの大型契約が相当程度含まれているし、クラウド契約は顧客の利用量によって売上計上時期も変わる。
巨額の設備投資が、そのまま同じ比率で利益へ変わるとも限らない。
それでも、現在のAI投資が、利用先の見えないデータセンターを闇雲に建てているだけではなく、具体的な需要と契約に相当程度裏付けられていることは分かる。
これだけの資本、人材、計算資源が投じられ、既に長い受注の列ができているのであれば、今後数年、これまで以上のイノベーションが出てくることを期待してもよいのではないかと思う。
AmazonのAI検索は、相当強くなると思う
私はShopifyを担いで仕事をしている立場である。
しかし、顧客アカウントとAI検索の接続という点では、Amazonが相当強くなることは間違いないと思っている。
GoogleやChatGPT上で買い物をする際には、まず、「この人は誰なのか」を接続する必要がある。
そのうえで、
- どこへ届けるのか
- どの決済手段を使うのか
- 過去に何を買ったのか
- 何を繰り返し購入しているのか
- 何を閲覧したが買わなかったのか
- どの価格帯を選ぶのか
を理解する必要がある。
ShopifyはShopとShop Payによって、マーチャントを横断した購入者プロフィールと決済基盤を作っている。
一方、利用回数と蓄積された購買履歴という点では、Amazonには既に極めて大きな資産がある。
AmazonのAlexa for Shoppingは、購入履歴、検索、閲覧履歴、リスト、レビュー、過去の会話などを使って回答をパーソナライズする。
以前閲覧した商品を再びカートへ入れたり、過去に購入した商品をまとめて再注文したり、指定した価格まで下がったら、保存済みの住所と決済方法で自動購入したりするところまで進んでいる。
Amazonによると、2026年には2億5,000万人以上が同社のAIショッピング機能を利用し、利用者はショッピング中のコンバージョン率が60%以上高いという。
これもAmazon側の数字であり、利用者の購買意向がもともと高い可能性は差し引く必要がある。
それでも、AIショッピングに必要な条件を、Amazonがかなり揃えていることは確かである。
Google広告より、Amazonへ出品する方が優位になるカテゴリーもあるかもしれない
AIによって商品を見つけてもらうことだけを考えれば、今後はGoogle広告へ予算を投じるより、Amazonへ出品する方が圧倒的に有利になるカテゴリーが出てくるかもしれない。
Google広告では、ユーザーの検索意図に広告を当て、自社ECサイトへ送客する。
Amazonでは、ユーザーが既にログインしており、購入履歴、配送先、決済手段、Prime会員資格まで、一つのアカウントにまとまっている。
さらに、Amazonを利用する人は、初めから商品を買う目的で訪れていることが多い。
Googleが現在の「何を探しているか」に強いとすれば、Amazonには「実際に何を買ったか」と「その後もう一度買ったか」がある。
AIが商品を推薦する際に、この差は大きい。
もちろん、Amazonで売ればよいという単純な話ではない。
自社ECへ送客すれば、顧客データ、ブランド体験、CRM、リピート購入を自社で保有できる。
Amazonでは販売手数料がかかり、価格競争や顧客関係の制約もある。
また、AI検索によって商品が発見されたのか、通常検索、広告、ランキング、レビュー、過去購入から発見されたのかを、出品者側がどこまで正確に計測できるかも分からない。
AI上で、
- 何回推薦されたか
- どの質問に対して表示されたか
- 何と比較されたか
- 購入へどの程度寄与したか
が見えなければ、事業者としては投資判断が難しい。
それでも、Google広告とAmazon出品を、「自社ECへの送客」と「モールでの販売」という従来の区分だけで考えるのは、不十分になっていく可能性がある。
AIに商品を見つけてもらうために、どこへ商品データと予算を置くか。
そんな比較が必要になるかもしれない。
自社EC専業のブランドも、Amazonや楽天の役割を再考することになる
飛躍のクライアントには、Amazonや楽天市場などのモールへ出品せず、自社ECだけで販売している企業が比較的多い。
その背景には、それぞれ合理的な理由がある。
- 価格競争に巻き込まれたくない。
- ブランドの世界観を自分たちで管理したい。
- 顧客情報を自社で保有したい。
- モールの手数料を払いたくない。
- 既存の流通や取引先との関係上、出品しにくい。
特にブランドを大切にする企業にとって、Amazonや楽天市場へ出品しないことは、単なる販売チャネルの選択ではなく、ブランド戦略の一部でもあった。
ただし、AIによる商品発見が本格化した場合、この判断は一度見直す必要が出てくるかもしれない。
これまでAmazonや楽天市場への出品は、主に、そのモールの利用者へ販売するための手段だった。
今後は、それに加えて、AIが商品を理解し、比較し、推薦するための巨大な商品・購買データ基盤へ参加する、という意味を持つ可能性がある。
Amazonには商品、価格、在庫、配送、レビュー、閲覧、購買、再購入のデータがある。
楽天市場にも、楽天ID、楽天ポイント、検索、購買、レビュー、楽天グループの各サービスを通じた、日本国内で極めて強い顧客接点がある。
楽天市場は2026年1月、約5億点の商品を対象に、予算、用途、利用場面を自然な会話で聞きながら商品を提案するRakuten AIをアプリへ導入した。
モール側でも、既に会話型の商品発見は始まっている。
自社ECでブランド体験と顧客関係を構築しながら、Amazonや楽天市場を、単なる売上チャネルではなく、AI時代の商品発見チャネルとしてどう活用するかを考える。
たとえば、
- 自社ECはブランドの世界観とロイヤルカスタマー育成
- Amazonは商品検索と新規顧客との接点
- 楽天市場はポイントを含む国内購買経済圏
- 外部AIチャネルは横断的な商品発見
というように、チャネルごとの役割を改めて定義することになるかもしれない。
もちろん、すべての商品を同じ価格と条件でモールへ出す必要はない。
商品構成、限定商品、セット内容、価格、配送条件を分けることで、自社ECとモールの役割を設計することもできる。
これはマーケティングだけの問題ではない。
どの商品を、どの価格で、どのような見せ方で販売するのかは、ブランドの認識にも影響する。
したがって、自社ECかモールかという二者択一ではなく、AIによる商品発見が広がる中で、各チャネルにどの役割を持たせるかを、マーケティングとブランディングの両面から再設計する話になる。
Amazonや楽天側にも、新しいブランドを取り込む機会がある
これはAmazonや楽天市場にとっても機会である。
現在モールへ出品していないブランドの中には、商品力やブランド力が高く、既に消費者から一定の支持を得ている企業も少なくない。
そうした企業は、これまでモールへの出品に明確なメリットを感じてこなかった。
しかし、
- AI検索で発見されやすくなる
- 商品の違いやブランドの背景を以前より正確に伝えられる
- 自社ECとの役割分担を細かく設定できる
- AI経由の新規顧客獲得を計測できる
- 価格以外の価値で推薦される
ようになれば、出品の判断が変わる可能性がある。
Amazonや楽天市場が、価格と配送速度だけを競う売り場ではなく、AIによって商品の違いやブランドの背景を説明できる場所になれば、これまで取り込めなかったブランドを新たに呼び込めるかもしれない。
そのためには、プラットフォーム側も「AI検索に対応しました」と発表するだけでは足りない。
ブランド側が知りたいのは、
- どのような質問に対して商品が推薦されたか
- 何と比較されたか
- 何回表示されたか
- AIの推薦が購入へどの程度寄与したか
- 新規顧客との接点を自社ECへどうつなげられるか
という情報である。
これをどこまで出品者へ開示できるかによって、AI検索が新しい検索機能で終わるのか、新しいブランドを呼び込むプラットフォーム戦略になるのかが変わる。
MetaのSNS×AIにも期待したい
今回の記事ではGoogleを中心に見ているため、どうしても検索×AIの話が耳に入りやすい。
しかし、Googleが持つ検索とは、まったく異なる資産を持っている会社もある。
その代表がMetaである。
MetaはFacebook、Instagram、WhatsApp、Messenger、Threadsという、人間関係、コミュニティ、情報発信の上に成立する巨大なネットワークを持っている。
Googleの検索データが人間の「意図」に強いとすれば、Metaは人間の「関係性」に強い。
Metaは2026年、FacebookのAI Modeについて、一般的なWebリンクだけではなく、グループやReelsなどで人々が公開している意見、文化、体験、推薦をもとに回答すると説明している。
商品選びにおいても、
- 自分と同じ趣味の人が使っている
- 友人が訪れたことがある
- 信頼する発信者が紹介している
- 所属コミュニティで評価されている
といった社会的な情報は強い。
Googleが「この商品は条件に合っている」と答えるのに対し、Metaは「あなたに近い人はこれを選んでいる」と答えられる可能性がある。
Metaは現在、「personal superintelligence」という表現を使い、個人の文脈を理解し、必要なときに行動してくれるAIを目指している。
個人的には、メタバースよりこちらの方が圧倒的に期待できる。
仕事を効率化するAIは、既にさまざまな企業が取り組んでいる。
一方で、
- 誰と会うべきか
- どのように関係を築くか
- 相手へ何を伝えるべきか
- コミュニティの中でどう振る舞うか
- 人間関係をどう維持するか
といった問題は、人生や仕事において極めて重要でありながら、AIがまだ十分に入り込めていない。
Metaが持つ人間関係のデータとAIが本格的につながれば、検索や業務支援とは違う方向から、かなり面白いイノベーションが出てくるのではないかと思っている。
おわりに|Googleの広告成長とUCPは、同じ変化の前半と後半なのかもしれない
GoogleはAIによって検索回数を増やし、これまで広告対象にしにくかった長く複雑な検索を収益化しようとしている。
そして、その検索の先にある商品発見、会員認証、チェックアウト、決済までをUCPによってつなごうとしている。
検索広告の17%成長とUCPは、別々の話ではないのかもしれない。
一方は、AIによって検索から得られる収益を広げる話。
もう一方は、検索後に発生する商取引へGoogleが関与する話である。
ただし、消費者が本当にAI上で決済まで行いたいのか、ECサイトの役割がどこまで変わるのかは、まだ結論を出せない。
Shopifyはかなり先回りしている。
Googleも同じ方向を見ている。
Amazonは、圧倒的な購買履歴、利用頻度、顧客アカウント、配送、決済を持って、別の場所からAIコマースへ入ってくる。
楽天市場にも、日本最大級の商品群、会員、ポイント、購買データがある。
Metaからは、検索とは異なる、人間関係やコミュニティを起点としたAI体験が出てくる可能性がある。
どの体験が最終的に消費者へ受け入れられるのかは分からない。
しかし、各社の受注残、投資額、開発速度を見る限り、現在見えている機能だけで未来を判断するのも早い。
Googleの検索広告が伸びた理由を調べ始めただけだった。
それが気付けば、UCP、Shopify、ロイヤルティアプリ、国内カート、Amazon、楽天、Metaの話までつながっていた。
まさにAlphabetの決算を見ていたら、自分の業界の未来まで流れてきたわけである。
AIがECサイトを置き換えるかどうか、という単純な話ではない。
検索、広告、SNS、商品発見、顧客認証、決済、販売チャネルの境界が、少しずつ溶け始めている。
この変化について、まだ早いと無視するのも、すべてが一気に変わると煽るのも違う。
ただ、自分の業界に関係する変化として、無防備でいるわけにはいかない。
そして、これだけの資本と人材と計算資源が投入されている以上、現在の私たちが想像できる程度の未来で終わるとも思いにくい。
投資家としても、EC業界で働く人間としても、これまで以上のイノベーションを素直に期待しながら、少し距離を置いて、その実態を追っていきたいと思う。
関連コラム:DotDev 2026に行っていない私が、Shopifyの2017年から9年間、1,234件のアップデートを振り返ってみた(発表された構想と実際に定着する機能を分けて見る、という本記事の立ち位置をつくった回です)
関連コラム:AI時代のECに重要なのは、構造化データかストーリーか?(本記事で触れた「AIに何を学習材料として渡すか」を、EC側の情報設計として掘り下げています)



