導入
これまでShopifyのデフォルト機能では実現することができなかった課題の一つが配送分割機能でした。
・予約商品と通常商品を同時に購入した場合、商品ごとに配送を行う
・商品を複数倉庫で管理しており、商品の出荷元が異なる場合、配送料を分割する
上記のような課題は、アプリや外部システムを組み合わせることで一部実現可能でしたが、WMSの導入が必要になるなどシンプルではありませんでした。
そんな中、2024年9月のShopifyアップデートにより、配送分割機能が実装されました。
業界内待望の機能がリリースされたことで、今まであった課題を複雑なシステム無しで全ストア共通のデフォルト機能として実現することが可能となりました。
本機能についてShopifyプラスパートナーで運用経験も豊富な弊社が実際に使用した体験をゆるっとお伝えいたします。
本記事では、配送分割機能について余すことなくお伝えするので、ぜひ最後までご一読ください!
Shopifyの配送分割でできるようになったこと
Shopifyの配送分割機能によって実現可能になった2つのポイントを、実際の運用ケースに当てはめてご紹介します。
具体的には下記のようなケースが考えられます。
ケース1
予約商品と通常商品を同時に購入した場合、商品ごとに配送を行う場合
これまで、通常商品と予約商品を同時に購入した場合、購入者は予約商品が発売され発送するまで同時に購入した商品を受け取ることができない課題がありました。しかし、配送分割機能を活用することで、通常商品と予約商品を同時購入した場合、チェックアウトページにて配送を自動で分割します。
例)お客様が予約販売を予定しているコラボ商品のTシャツを購入した際、普段遣いのために同時購入した靴下も予約商品の発売まで届けを待つ必要があったところ、靴下は先に受け取ることができるように。
これにより購入者は予約商品の発売を待たずに通常商品を受け取ることができます。
<参考画像>
ただし、すべての予約商品が配送自動分割の対象とはならないことにご注意ください。対象となるのは予約販売のアプリを利用して、フルフィルメントステータスを「保留」または「スケジュール済み」と設定した商品のみになっています。
ケース2
複数倉庫からの配送
複数の商品を購入し、購入商品の出荷元が異なる場合にも、配送分割機能を活用することができます。
例)東京の倉庫Aにあるパーカーと京都の倉庫Bにしか在庫がないズボンを購入した場合、それぞれの倉庫から商品を個別発送することが可能。
従来は、商品を一箇所に集約し配送する手間が発生していたところ、個別に出荷することが可能になったことにより素早く顧客に商品を届けることが可能となります。
<参考画像>
実装方法について
配送分割の実装方法は至ってシンプルです。
- Shopifyの管理画面から、「設定 > 配送と配達」の順にアクセスします。
- 配送セクションで、配送プロファイルリストの下にある次のいずれかのオプションを選択します。
- フルフィルメント可能な在庫設定がない場合、「管理」をクリック。
- フルフィルメント可能な在庫設定がある場合、「分割配送」をクリック。
※フルフィルメント可能な在庫設定とは、購入者の配送先住所に応じた配達方法・在庫数量を表示する設定です。2024年4月以降に作成されたストアでは、デフォルトで有効になっており、新しいストアではこの設定は表示されません。
- 「チェックアウト時に分割配送を表示する」にチェックをつけます。
- 「保存する」をクリックします。
これにより、以下の商品が含まれる場合に、自動で配送の分割を行います。
- 予約商品
- サブスクリプション商品
- 異なるロケーションから配送される商品
- 異なる配送プロファイルの商品
- Buy with Primeの商品
配送分割を実際に使用してみて
実際に配送分割の機能を使用してみると、Shopifyデフォルトの機能として簡単にストアに実装することができました。ストアで表示されるUIも単純明快でわかりやすく、自動で配送が分割されるため、購入者に混乱を与えることもなさそうです。
一方、改善の余地があることも事実です。例えば、今回の配送分割機能では、配送分割は自動で行われるため、顧客側がチェックアウト画面で一括での配送を選択することができません。そのため、現状の仕様では下記のようなケースを実現することは難しいです。
例)友人の誕生日が来週なので、プレゼントのアクセサリーが急ぎで必要。しかし、自分用のバッグは急いでいない。アクセサリーはお急ぎ便で受け取り、バッグは後で受け取りたい。
また、一定金額以上の購入で送料無料にする設定をしている場合、配送が分割されることで、購入金額的には送料無料のはずが、送料無料が適用されないなど、購入者にとって予期せぬ配送料が表示されることも考えられます。
例)10,000円以上購入で送料無料のストアにて、7,500円の商品Aと5,000円の商品Bを購入した場合、本来は送料無料となるところ、配送分割の機能により商品Aと商品Bそれぞれに配送料がかかってしまう。
上記のように、実際に機能を使用する上で改善点があることも事実ですが、Shopifyデフォルトの機能として配送分割を実装できる点は素晴らしく、予約商品や複数倉庫からの商品出庫に課題を感じていた方にとっては良いソリューションとなっています。
課題となっている部分については、Shopifyのさらなるアップデートを待ちつつ、弊社でも新たに配送分割に関するアップデートが行われた際には情報を発信いたします。
まとめ
今回のShopify配送分割機能のアップデートにより、ストア運営者は顧客のニーズに合わせて柔軟に商品を配送できるようになりました。これにより、顧客満足度の向上だけでなく、物流効率化やコスト削減も期待できます。
機能として一定の課題も残していますが、今後のアップデートにも期待ができそうです。どのストアでもデフォルトの機能として実装することが可能なので、ぜひ一度配送分割機能活用を検討してみてください。