取引条件の2回目、本日のテーマは「DUTY&TAX」です。
国内ECと越境ECとで最も違うことは何かといえば、今日お話しするDUTY&TAXかもしれません。越境ECといっても貿易であることには変わりはないので、DUTYやTAXがかかって当然ですから。その取り扱い、つまり誰が支払うかについてはサイト上の取引条件に明記する必要があります。
今日は、実際のポリシー例を見ながら、取引条件に書くべきDUTYとTAXに関する決めごとを勉強したいと思います。
まずDUTY & TAX のポリシー例を挙げてみます。
(英文例)
The terms of sales are DDU " duties and taxes unpaid". The price shown does not include such items as VAT, import duty, tax and other unpredictable charges against middleman and agents. In case of these unexpected charge needed in the due course, these charges should be paid by the customers. For more information regarding your country's custom policies, please contact your local customs office or its agents.
(日本語訳)
国際取引においては、お客様の注文された商品は、輸入時に、VAT、関税や消費税の対象となり課税されることがあります。
私たちはすべての国際取引においてDDU*にて出荷しています。したがってVAT、関税、消費税、もしくは、予測できない、特別なチャージや仲介料金などの料金については、商品の決済の際にはいただいておりません。
もしお客様にこれらの追加料金が商品を税関から引き取るために必要となった場合、それらをお支払いいただく必要があります。尚、商品の輸入に関してさらに詳細な情報が必要な場合は、お客様の地元の税関にお尋ねください。
この実例には重要なことが5つ書かれています。
- 輸入時にかかるVAT、関税や消費税などがかかることがある
- 取引条件(インコタームス)はDDUなのでそのVAT、関税や消費税などは商品代金に含まれていないこと
- もしそれらの費用が追加でかかった場合、お客様にお支払い義務があること
- 税金は国によって違うこと
- 詳しい情報は地元の税関に聞いてほしいこと
DDUとは?
DDUとは、インコタームスと呼ばれる取引条件の中のひとつで、Delivered Duty Unpaidのことを指します。商品代金には日本からお客様ご指定のお届け先までの配送料が含まれているけれど、輸入の際にかかる関税や税関から引き取る際にかかる費用は含まれていないという意味です。実はこのDDUという呼び方は、現在のインコ―タームズでは廃止されていて、DAP(Delivered at Place)に呼び方が変わりました。但し、DAPにおけるPlaceとは輸入通関の手前の「配送センター(保税上屋)」までという意味ですので、越境ECにおけるDDUとはちょっと違うようです。
一般貿易において、配送費のすべてを売主側が負担する場合、輸入時にかかるVAT、関税や消費税もすべて負担する場合をDDP、Delivered Duty Paidといいます。サンプルやクレーム品の出荷などの出荷でよく使われる取引条件です。
一方、輸入の通関で税金だけは買主が負担してくださいね、という場合はDAPを使います。この取引条件がDDUに似ているということでDDUはDAPに置き換わったのですが、越境ECでDAPというとちょっと誤解されかねないので、いまだにDDUを使うことが多いようです。
DDUと書いておくことの重要な意味
DDUと明言しておくことが、売主と買主の間の売買契約では下記の3つが合意されていることになります。
- 商品代金にはお届けまでの配送費用が含まれている
- 輸入通関でDUTYやTAXなどの費用が掛かった場合には、それは買主が負担する
- お届けの際に貨物にダメージが発生した場合は売主側の責任となる
また例文にあるように、
・商品を税関から引き取るためにVAT、関税、消費税、もしくは、予測できない、特別なチャージや仲介料金などの追加料金が必要となった場合、買主がそれを負担する
・そういった情報については(国によって違うので)、地元の税関に確認していただく必要がある
と書いてあるので、
“税金がかかるなら受け取り拒否する”
“こんなに税金が高いとは思わなかった”
といった理由はすべて、買主側の都合によるキャンセルということになりますので、「顧客都合のキャンセル」についてある程度の制限を設けておけば、商品を海外に送っているにもかかわらずキャンセルされて、挙句のはてに返金しろというクレームにもきちんと対応することができます。
DUTY&TAXを明示しておくことは、次回ご説明する返品や交換、キャンセルといったクレームにも関係してきます。誰が読んでも誤解しない、明確な表現で書いておきたいものです。
中川泰
越境EC総研合同会社(CBEC Reserach Insutitute LLC)CEO